愛のしるし

無償の愛・・・と言って まっ先に浮かぶのは “お母さん” ではないでしょうか。

 

オギャーと大きな産声を上げた ”私の赤ちゃん” を抱いた瞬間から、その愛は偉大です。

ある日読んだ、温かくて切なくて、感動の実話

お母さんの深い愛をお届けします

 

愛のしるし

 

私の母の顔は、右の頬一面が大きくただれています。

それはヤケドの痕です。

どうしてヤケドをしたのか 聞いた事もありましたが、母はいつも笑いながら、

子供の頃ヤカンをひっくり返してこうなったのだ と説明してくれていました。

私は母のヤケドの痕が大嫌いで、なるべくお友達に見られないように、いつも心を

砕いていたのです。

 

父兄などの集まりの時にも「学校に来ないでよ」と言い続けて来ました。

一緒に出掛けた時でも、向こうから友達が来ると 私はすーっと母から離れて

まるで他人のような素振りをとって来ました。

 

愛のしるし 

 

私の誕生日はいつも父と母と私でした。

「たまにはお友達を呼んだら?」と母が言ったこともありましたが

「そんなこと。恥ずかしくて呼べないわ」 と私が怒ったので、翌年からは母は何も

言いませんでした。

 

先月のことです。家庭科の宿題を置き忘れて来てしまいました。

夕べ遅くまでかかって縫ったのに、朝寝坊してあわてて家を出てきたからです。

一時間目の途中で気がつき、取りに帰ろうか迷っていました。

 

先生のお話もよく耳に入らぬまま 一時間目が終わり休み時間になりました。

「M子さん、お母さんが廊下に来ているよ」 と言われた時、

”宿題を届けてくれたんだわ” とほっとした気持ちと同時に

”お母さんの顔がみんなに見られてしまう”

という気持ちとがごちゃごちゃになって

「学校へ来ちゃ駄目って、あんなに言っておいたでしょう!」 と怒鳴りました。

 

母はニコニコしながら「わかっているけれど、せっかく夜遅くまで頑張ったんだもの、

困っていると思って」 と言いました。

 

私は、風呂敷包みを乱暴に奪い取って「そんなおばけみたいな顔で、いつまでもいないでよ」と

また怒鳴り後ろも振り向かずに教室にかけこんでしまいました。

 

気の重い、それはとても長い一日でした。

 

 

その夜、父が 「M子、お前に話しておきたいことがある」 と言われ静かに話し始めました。

 

「お前が一歳の時の冬、近所で火事があり 驚いて飛び起きた時は、

火に包まれて逃げ場がない状態になっていた。

とっさにお前を毛布ですっぽり包み、しっかり抱きしめたまま炎の中をくぐって、

やっとのことで表に逃げ出すことが出来たんだよ。

お母さんの顔をよく見てごらん。  そのヤケドはその時のヤケドなんだよ。」

 

私は始めて聞くその話に息も出来ませんでした。

 

「今まで本当のことを言わなかったというとね。 お母さんが

”私のヤケドがM子を助ける為にできたんだなんて、

もし思うと心に負担が残るんじゃないかしら” って

ずっと言い通して来たから、つい、今日まで本当の話をしなかったんだよ。

M子の顔が、こんなにきれいでいるのも、 お母さんが濡れた毛布でお前を包み、

しっかりと抱きしめたまま必死で逃げてくれたからなんだよ。

 

お父さんは、お母さんの顔のヤケドの痕を見ると、心の中で

「ありがとう。ありがとう。本当にありがとう」 ってお礼を言っているんだよ。」

 

 

私はあとから、あとから流れてくる涙をどうすることも出来ませんでした。

 

「お母さんありがとう。今までのことごめんなさい」

もう胸がつまって言葉にはなりませんでした。

 

母の顔にあるヤケドの痕。今では私の誇りです。

私への愛のしるしなのです。

だから、よそのどんなきれいな顔のお母さんよりも、私は私の母の顔を美しいと思っ

ているのです。

 

愛のしるし  代用

 

お母さん の愛って本当に深い

だから世界中、 ”ママ” は特別なのね

 

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作成日:  | 作成者: yumi |  カテゴリー: 心のメモ帳