映画 ~招かれざる客~

貴方は、「招かれざる客」 という映画をご存じですか?

この映画は、1967年にアメリカで制作されました。

かれこれ、半世紀前の映画ですから、ご存じない方も多いのでは?

初めてこの映画を見たのは、小学生の時。

この映画には、憧れの女優さん 「キャサリン・ヘップバーン」 さんが出ていらっしゃってね。

初めは、この素敵な女優さんを見たくて映画を見ていたのですが・・・

この映画は、まだ幼かった私に素晴らしいメッセージを伝えてくれたのです。

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この映画の内容を、ざっくりとご紹介しますね。

 

新聞会社を経営している夫と素敵な奥さんの間には、一人娘がいました。

このお嬢さんが、ある日、「素敵な人を見つけたの。この人と結婚したい!」 と言って家に連れてきたのが、事もあろうに黒人の青年でした。

そう、娘の家庭は白人・・・そして、恋人の家庭は黒人だったのです。

 

娘の父と母は、あまりにも突然の出来事に慌てふためきます。

父は、自由主義を信条にかかげ、ご近所でも有名な人格者で通っています。

父は、早速この黒人青年の身元を調査します。

しかし、父の期待とは裏腹に、この青年は文句のつけようがないくらい立派な、そして、世界的に有名な医師だったのです。

 

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父は、娘の結婚を頭では理解していましたが、認めることはできません。

(当時の人種差別のことを思うと、白人との結婚は相当障害があったことは、言うまでもありません。)

でも、娘の母は違っていました。

 

黒人の青年は、彼女の母にこう言いました。

「彼女のような人は、初めてでした。 人種の違いを気にしない・・・同じ人間としか見ない。」 と。

妻は、夫にこう言いました。

「彼は、娘の事を正しく見ている。 その事が私は嬉しいの。 

娘は私達の願い通りに育ったわね。 いつも娘に言い聞かせてきたわ。 

肌の色は関係ない。 差別する人間は、偏狭で愚か・・・とにかく間違っていると・・・。」

そう言って夫を説得するのですが・・・

 

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この映画の中で、こんな素敵なシーンがありました。

彼女の父が、黒人の青年にこう尋ねました。

「子どもの事は、考えたかね?」

青年はこう答えました。

「ええ・・・苦労するでしょう。 でも結婚する以上、子どもは欲しい。」 と

「娘も同じように?」 と父は尋ねます。

「彼女は、“子どもは、未来の大統領!”  きっと、国が明るくなるわ!」 と青年は、彼女の父にこう伝えたのです。

何度見ても、このシーンに泣けてきます。

 

この映画が出来て、半世紀経った現在、実際にオバマ大統領が選ばれましたね。

映画の中で話していたことが現実になりました。

でも・・・悲しいかな、未だ世の中の “差別” や “偏見” は無くなっていません。

 

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2013年、私は一人で、パリの北駅からアントワープに向かいました。

電車に乗ってから、アントワープの地図をホテルに忘れてきた事を思い出してね・・・

不安な気持ちでアントワープの駅に降り立ち、駅からタクシーで目的地まで向かう事にしました。

ところが、タクシーを待っている人達がいっぱい並んでいて・・・

やっと順番が回ってきたのですが・・・そのタクシーの運転手さんが、黒人だったのです。

 

私は一瞬、「この人の車に乗って、大丈夫なのかしら?」 って正直こう思いました。

でも、後ろの人のことを考えると、乗らないわけにもいかず、“恐い” と思う自分の気持ちを抑えながら乗りました。

 

ところが、この運転手さん、とても気さくな、親切な人だったのです。

私は、心の中でこの運転手さんに詫びました。

外見だけを見て、判断した自分が愚かだったことを。 間違っていたことを。

そして、その時、私の脳裏に浮かんだのが、この映画だったのです。

世の中を変える事は難しいけれど・・・せめて私の心は変えていこう!

いや、今から変わる!・・・心から、そう思いました。

 

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photo credit: Glenn Franco Simmons via photopin cc

 

最後に、この映画の中で父が二人に祝福した言葉で締めくくります。

 

「素晴らしい二人が、たまたま恋をし、たまたま肌の色が違った。

今は、こう思う。

世間がいかに騒ごうが、構わん。

問題は、唯一。  お互いの事を良く知り、理解する事だ。」

 

 

追記

この映画の中の父を、あの名優 スペンサー・トレイシーさんが演じていらっしゃいました。

そして、母の役が、キャサリン・ヘップバーン さんでした。

キャサリン・ヘップバーンさんの、慈愛に満ちた目・・・強烈にひきつけられました。

余りにも、二人の演技が自然で、映画の中に引き込まれていきました。

私に大切な事を教えてくれた、忘れることが出来ない映画の一つです。

 

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作成日:  | 作成者: yayoi |  カテゴリー: 心のメモ帳