ニッキの和菓子と言うと京都のお菓子が思い浮かびますが、
大阪の堺市に400年もの歴史とともに人々に愛されている「八百源来後弘堂」さんという
伝統の和菓子屋さんがあるんです。
南蛮貿易が盛んだった時代に”東洋のベニス”と呼ばれ、商いで栄えていた堺市。
「八百源」の初代・八百屋宗源さんは堺で貿易商としても活躍されていて、
ヨーロッパや中国・ルソンから何百種もの香料・香木を輸入し、 その香料の中でも
肉桂(ニッキ)は香りもよく、珍重されていたそう。
そのニッキを用いて誕生したのがこの「肉桂餅」です
歴史を感じる焦げ茶色の包みを開けると、雪のような粉がかかった
セピア色の小ぶりなお餅がひとつひとつ入っています。
摘んだだけでちぎれてしまいそうな柔らかな触感です
とろけるようなやわらかな求肥に上品な甘さのこしあんと肉桂の香り。
当時はさぞ、ハイカラなお菓子だったことでしょう
ニッキは香りがよく とても貴重なものでしたが、
辛みと苦みが妨げとなって女性や子供に好まれなかったそう。
そこで宗源が「肉桂をお餅に混ぜ合わせてみては。」と思いつき、
加えてみると香りも味もよいお餅になったそうです。
また、こんなお話も・・・
「肉桂は血の巡りをよくするもの」として、薬の効用もあると考えられていました。
なので、当時はこの肉桂餅もくすり菓子として出されていたのだとか。
何よりこだわっているのが原料の肉桂、香りのよい東南アジアの肉桂を使用されています。
上品な風味なのは周囲にじゃがいものでんぷんをまぶして、肉桂の香りがきつすぎず、
程よく香るように なんだそうです。
とろけるようなお餅にオリエンタルな香り。
もうひとつ、あとひとつ、あともうひとつだけ・・・