思い出のコーヒーと音楽と

子供の頃、喫茶店が大好きでした。

今はカフェとなって、あの頃の雰囲気とはちょっと違う気がするけど、

父に初めて連れて行ってもらった時、扉を開ける後ろでドキドキしていたのを思い出します。

もう大昔の話ですから時効にして下さいね。私にとってはステキな思い出なんです。

 

コーヒー好きの父は、まだ小さな私と手を繋いでよく喫茶店に連れて行ってくれていました。

「お散歩に行ってくる」と言って。

 

思い出のコーヒーと音楽 

 

 

そこは大人の空間で、香ばしいコーヒー豆の香りが漂っていて、

ひとりゆっくりくつろいでいる人、マスターと語り合う人・・・

「わぁ、大人っていいなあ。早く大人になりたい。」 あの時の気持ちは今でも覚えています。

 

父のコーヒーがくると、「ん~いい匂い・・・」と鼻を鳴らして息を吸い込むのが日課でした。

その香りは脳の奥まで届き、何ともいえない いい香り。

そう、あれがアロマの効果、癒しだったんですね。

 

流れてくるJAZZを聴きながら、ミルクセーキをチューチュー飲んでいました。

 

思い出のコーヒーと音楽  引用

 

思春期の頃、福岡のいとこに よく連れて行ってもらった、大好きな喫茶店がありました。

 

そこに流れる 甘く洗練されたスウィート・ソウルの音楽に心奪われて・・・。

大人のバーで流れていそうな、スモーキーでアンニュイなシャーデー・アデュ。

「SMOOTH OPERATOR」を聴いているときなんて、目をつぶり酔いしれるありさま。

 

"思い出のコーヒーと音楽

 

こんなおませな、熟した大人が聴くような音楽になぜか惹かれながら、

パフェのクリームをほお張り、口のまわりに付いた生クリームをペロペロなめて ご満悦な私・・・

 

家に戻れば隣の部屋で姉のジャニーズの曲がバンバン流れるなか、両親のレコードから

ムーディーな映画ミュージックをこっそり聴いては気だるいモードの私・・・

 

いちごのケーキのカットがお姉ちゃんの方が大きい!と涙目で訴えるのに、

熟した音楽に身を揺らす私・・・

 

マンガ本の付録の交換ごっこを断られてタコのように真っ赤になって怒るのに、

聴いている音楽のタイトルは 「普通じゃない恋」 「毎日がいとおしい」

 

 

思い出のコーヒーと音楽 引用

 

このちぐはぐな状況は 何が何だか分からないけど、今思い出すと最高におかしくなります。

 

 

時が過ぎ、おやつの大きさで涙目にはならなくなったけど、

今でも音楽は 爽やかな白い鍵盤の音より、ちょっと切ない黒鍵好き。

甘くスイートな曲に 胸がキュンキュンします。

 

"思い出のコーヒーと音楽

 

初めてのデートで流れてきた曲、失恋したときに繰り返し聴いて更にお涙倍増した曲、

素晴らしい演奏に心が震えた曲、忘れられないフレーズ、ソウルにボサノヴァ・・・

想いの詰まった曲は溢れんばかり

 

 

 

コポコポと響くサイフォンの音、丁寧に淹れられる一杯のコーヒー。

自分の中にもう一人いるような賑やかな私も、今では良い思い出。

 

音楽とコーヒーが大好きになったのは、喫茶店に連れて行ってくれた父と、

両親の集めたレコードのお陰です。

 

思い出のコーヒーと音楽 2017-10-8

 

 

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