ディドロ効果というのをご存知ですか。
家を建てたりリフォームしたり、何かをひとつ変えた時、その雰囲気に合わせて
買い揃えたくなったという経験はありませんか。
あります、あります、もちろん私も。
この心理状態になる人は、決して少なくないような気がします。
では、ディドロの『私の古いガウンを手放したことについての後悔』というエッセーはご存知ですか。
「なんと素晴しいガウンだ!」
フランスの哲学者であるドゥ二・ディドロは、深い赤色のドレスガウンをプレゼントされ
一目みるなり、歓喜の声をあげました。
長い間着ていたガウンを捨て、早速深い赤色のガウンに袖を通しました。
ところが、この素敵なガウンを着て椅子に座ってみると、汚れた椅子と
上質なガウンがなんだかマッチしていない。
そこで新しい椅子生地に替え、ガウンを着て座ったら、タペストリーの古さがやけに気になりだし、
新しいタペストリーに替えてみました。
そうなると、使いこんだ書斎の机やなじみの本棚がミスマッチ・・・
「よ-し、こうなったら何もかも替えるぞ!」
ようやく調和のとれた書斎に、さあ、新しいガウンを着て座ったディドロ。
すると・・・
完璧にリニューアルしたのに、彼は何ともいえない居心地の悪さを感じたのです。
今まで使っていた家具は、古かったかもしれませんが
ディドロのお気に入りのものだったのですね。
無理して豪華なものに合わせたため、自分らしさがなくなり、心地悪くなってしまったのでしょう。
フランスの人はモノを捨てることを嫌います。
それは「古い物ほど素晴しい」という考え方があるから、家具でも道具でも修理しながら使い続けます。
センス良く。
日々倹約してでも大切なものは、貯めたお金でバカンスやパーティーを心から楽しむことなんです。
質素なのにとっても豊か。
フランスの人が一番大切なのは「心地よさ」なのでしょうね。
自分が本当に幸せに生きるのに、何が必要かを知っている。
心地よく生きるということを・・・