商品の流通がネットに変わっていき、確かに便利にはなったけれど、
お店の人の笑顔が見れなくなってしまうのは、とてももったいない気がします。
顔を見ながら話せるからこそ、誰かの力になれたり、心が温かくなったり。
ショップに来てくれたお客様に、愛情溢れる接客で心を通い合わせた、一人の女性と
おじいちゃんの胸が熱くなった実話を今日はお届けします。
「おい書類もってきたぞ」「今日はスマホ買えるかい?」
と元気よくやってきたおじいちゃん。
前にもスマホを購入したいって来られたけど、機能も金額も全くわからなかったから
書類だけお渡しした。
一応、「あのー、ご家族にご相談されましたか」と聞いてみると…
「はなっからスマホなんか無理だって言いよった」
困ったけど、おじいちゃんの熱意に押され契約を進めた。
「せーんせい!今日は絵文字をもう一度教えてもらいたいんだ!」
孫と繋がりたかったおじいちゃん。
家族の反対を押し切ってスマホを契約してから、使い方を教えてもらいに
毎日ショップへ訪れることに。
いつも笑顔で丁寧に教えてくれる彼女のことを、いつの間にか“先生”と
呼ぶようになっていました。
「絵文字のスマイルは、どうやったら変換できたかな。」
絵文字だらけで送られてくる孫のメールに、自分も絵文字で返そうと
頑張るおじいちゃんの姿。
確かに、絵文字を毎回選ぶのは大変かもしれない…。
そこで彼女は、ある新しいアイデアを提案しました。
「それなら、いっそこんなのはどうですか。
かっこの中に笑という漢字をいれるんですけど。こうやって(笑)」
それを見たおじいちゃん、
「かっこいい!日本人はやっぱり漢字だ。これはかっこいい!」と大喜び。
おじいちゃんとのスマホ教室は、日課となっていました。
「ありがとう先生、ではまた明日!」
気付けば二人の間では、それが合言葉になっていました。
ところが…
おじいちゃんは、ある日を境にぴたりと姿を現さなくなったのです。
「どうしたんだろう…」心配をしていた、ある日のことでした。
「すみません、父がお世話になっていた“先生”という方はどちらでしょうか。」
彼女を訪ねてやってきた、一人の女性。
おじいちゃんの娘さんでした。
そして、娘さんからショックなことを聞かされたのです。
「これ、父からあなたに宛てたメモのようなんですが。」
書かれていたのは、亡くなったおじいちゃんからの最後のメッセージでした。
そこには…
スマホを使ってみたかった。
先生のお陰で、いい人生だった。
ありがとう、先生。
先生は笑顔がいい。
スマイルの多い人生を (笑)(笑)(笑)
彼女の頬に涙が伝った・・・
いつも一生懸命のお客様だった。
分からなくても笑顔で話を聞いてくださった。
ものを学ぶ姿勢を教えてもらったのは私の方でした。
こちらこそ、ありがとうございました。
二人の最後のメッセージは、お互いの心の中にいつまでも残るでしょう。きっと・・・