アリーグルの蚤の市の帰りの出来事です。
ムッシュのコートから、メガネケースがスルリと落ちました。
落とした事に気が付かないムッシュは、先に行こうとされています。
そのメガネケースを拾い、ムッシュに手渡すと、フランス語で話されているのですが
意味が解らずポカンとしていると、
「ごめんなさい。英語なら通じるよね?」 と、今度は、流暢な英語でお礼を言われました。
こんな出来事って、どこにでもありますよね。
背が高く、深めに紺色の帽子をかぶり、赤いストールを巻いたお洒落なムッシュは、
普段は西アフリカで会社をしているんだけど、休暇でパリのご自宅に帰ってきたのだと言われました。
「あなたは日本人でしょ。このすぐ先に、今、日本人の女性が写真展をしているんだ。
彼女は、普段は東京で働いていて、時々パリで写真の個展をしているんだよ。
良かったら、一緒に今から見に行かないかい?」
この日の予定は目いっぱい立てているからと、一度はお断りしました。
しかし・・・そこは、押しの強いフランス人、なかなか諦めてくれません。
約束していた時間には2時間くらいあるし、他にも行きたいお店はあるにはあったのですが、ここはひとつ、流れに沿ってみることにしました。
写真展の会場は、バスティーユ広場から10分程度歩いた場所にありました。
写真家さんのお名前は、yumiko hiroseさん。
1階は、まるでルノワールの踊り子のような、バレリーナの幻想的な写真が展示されていました。
地下は、京都の舞子さんのお着物姿が美しい写真でした。
世界に向けて発信されていらっしゃるhiroseさんの作品を見る機会をいただいて、本当にラッキーでした。
最初は、パリに来てまさかの日本の方の写真?って、ちょっとためらったのですが・・・
自分の大好きな事をして、その世界観を表現できたら、こんな素敵な事はないわ。
最初は、どうしようかと迷ったけれど、予定を変更して、今日は大正解でした。
普段、相棒から “危機管理部長” というあだ名を付けられている私は、誰もが認める慎重派。
でも、自分の感覚は鋭い方なんです。
その感覚を最大限に生かして 「行ってみようかな。」と思う方へ行ってみると、
大抵はずれがありません。
そして・・・その日、シゲコさんからこんな素敵な招待状をいただきました。
「岡本さん、この招待状差し上げるから行ってごらんなさい。
この招待状がないと、この会場には入れないの。
それは、それは、広い会場にアンティークやブロカントが沢山あるのよ。
きっと、あなたの為になるわよ。」
それは、エコール ミリテールという場所にありました。
エッフェル塔の近くです。
どんどん歩いていると、白い大きなテントを発見!
ここが、会場でした。
会場の中は、めくるめくアンティークの世界が広がっていました。
日本人の店主さんも、ちらほらお見受けしたりして。
きっと、パリに住んでいらっしゃって、アンティーク店をされていらっしゃるのでしょうね。
会場のあまりの広さと、中にいる人達の熱気で、会場全体がムンムンしていました。
それにしても、世界は広い。
そして、アンティークの世界は奥深い!
まだまだ知らない事だらけだなぁ・・・。
とにかく、興奮状態の頭をクールダウンしなくちゃ。
そんな事を考えていたら、セーヌ川のゆったりした流れが、急に見たくなりました。
そうして、地下鉄の駅からてくてく歩いて、セーヌ川を渡って
とうとうシテ島まで来てしまいました。
今日も、歩きに歩いて、気がつけばもう2万歩。
いつも、買付けを兼ねての旅ですから、予め予定は立てています。
でもね、お店に行っても、期待通りの物が無かったり
そのお店の場所に行くと閉店していたりと、予定外の事って結構あるんです。
そういう時は、決して焦らない事!
そして、流れに任せてみること!
これが、My rule。
一見、予定通りにすいすいと運ばれて行くよりも、ちょっとしたアクシデントや
予定外の事をすると、それがとっても新鮮で、より一層、旅を楽しくしてくれます。
そして、そんな事の方が、いつまでも記憶に残ったりするのよね。
冬のパリは、やっぱり灰色の空。
そして、夕暮れも早い。
「久々のパリは、やっぱり素敵! もう一泊すればよかったなぁ・・・。」
コートの襟を立てて、夕闇迫るノートルダム寺院を跡にしたのでした。