世界一お洒落な男たち

海外マダムのファッションの写真集が話題を呼ぶ中、ムッシュだって負けてはいられません。とても印象深い写真集があるんです。

 

中部アフリカに位置する国、コンゴ。

多くの人がコンゴ共和国と言われて何も思いつかなかったはず。あの写真集が出るまでは・・・

 

首都ブラザビルの郊外にあるバコンゴという地区の人たちは、

ほとんどの人が農畜産物を育てながら生活していて、平均月収は2.5万円程度。

トタン屋根が立ち並ぶ世界最貧国の一つと言われている暮らしの中で、

驚くほどの高級ブランドのファッションを身に付ける世界一お洒落な男たちがいるのです。

 

世界一お洒落な男たち 画像

 

 

彼らが身に付けているのはプラダやケンゾー、アルマーニやヨウジヤマモトなど

ハイブランドのものばかり。

何ヶ月分もの給料を費やして、世界のデザイナーたちが注目を集めるほどのハイセンスな

オシャレを楽しんでいます。

「世界一服にお金をかける男たち」

彼らはサプール(サップ)と呼ばれています

 

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SAPE(サップ)とはフランス語のSociete des Ambianceurs et des Personnes Elegantesの

頭文字をとったもの。

日本語訳には「おしゃれで優雅な紳士協会」や、「エレガントで愉快な仲間たちの会」という意味で、

そんなサップを楽しむ人たちをサプールと呼んでいます。

 

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週末になると、バコンゴ地区のメインストリートではカラフルなハイブランドのスーツに身を包んだ紳士たちが、

優雅に、時にはコミカルに、路上のランウェイが始まります。その姿はパリコレ以上かも・・・

村のみんなの憧れの的です。

 

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彼らのファッションは1950年~1960年のパリのファッションをモチーフにしたもの。

パイプや葉巻、ステッキも粋なアクセサリーのひとつです。

サプールはただ”おしゃれを楽しむ”のでは決してないんです。

 

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「武器を捨て、エレガントな装いをしよう」

この感動的な言葉が世界中の人の心をわしづかみにしたのでしょう。

 

サプールであるためには教養を身につけ、フランス語を流暢に話し、

何よりも強い倫理観を持たなければならないと考えている。

つまり、スマートで高級な衣服の内側には、真摯かつ高貴な人間性が備わっていなければならない。

外見に気を配ること以上に、紳士であらねばならない…紳士としての

ルールと教養を身につけ、精神的に豊かであることが何よりも大切なこと。

 

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決して裕福とは言えない生活を送りながらも、エレガントであることに誇りと情熱を持っています。

 

目の覚めるような美しい色彩、でもそれが度派手ではなく品を感じてしまうのは、

彼らが” ”一度に3色以上の色を使わない” というルールから。

それは、「色が多すぎるとエレガントではなくなる」というポリシーがあるから。

 

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彼らの独特な色使いや挑戦的な色の組み合わせを絶賛するのは、

有名デザイナーのPaul Smith(ポール・スミス)氏。

彼はこう語っています

 

「私にとって、サプールたちの装いは驚くべきものだった。

パリやロンドンといった世界の首都であっても、

あのようにエレガントな格好をした男性たちは一際目を引くだろう。

彼らが衣服に傾ける情熱は、今日の世界においては特殊なものかもしれない。

身につける衣服のいかなるディティールにも細心の注意を払うサプールのスタイルは、

日々身につけるものすべてを注意深く吟味していた初期のダンディズムに通じるものだろう。

他者への紳士的な姿勢、そして社会における重要な立ち位置にこそ、

サプールの唯一無二の精神性が表れているのだ。」 と。

「ポール・スミス」はその後サプールにインスピレーションを得たコレクションを発表しています。

 

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世界の名高いデザイナーも影響を受けるほど、サプールたちの着こなしは魅力的で

エレガントなんですね。

 

幾度となく内戦が起こるコンゴでは、そのたびにサップの文化は途切れそうになってきました。

けれどもサップの文化は、ただ着飾るのではなく「紳士であること」を重んじて行動すること。

武器を捨て、ファッションの靴音を響かせることで平和を願い、主張していくものです。

 

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バコンゴ地区にはゴミも多く、教育も行き届いているとは言い難い状態。その中には、

今も乗り捨てられた戦車や戦乱の傷跡の残る建物もあるそうです。

同じ過ちを繰り返さないためにも、90年以上続くサップの文化を守り続けています。

 

コンゴのサプールは、三度の食事にありつけなくても幸せなのだそう。

なぜなら、しかるべき衣服を着ることは精神を養い、身体を幸福で満たしてくれるから。

 

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「世界一服にお金をかける男たち 」

貧困の中にある熱い情熱、彼らの心がまさにトップブランドですね

 

 

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