「祝福(いのり)の海」という映画、ご存じですか?
この映画を知ったのは、友人宅での上映会に誘われたのがきっかけでした。
彼女が企画する事だから、きっと素敵な映画なんだろうなぁ・・・
そんな軽い気持ちで出かけたのに、映画を見終った後、あとからあとから感動の波が押し寄せてきて・・・
自分とはいったい何者で、どこから来てどこに帰っていくのか、そんな問いを投げかけられているかのようでした。
この日、監督さんご夫婦もお見えで、上映をする前にこんなお話しをしてくださいました。
僕は大学生になっても、将来の夢を持っておらず、自分は何がしたいのだろうと、とても迷っていました。
自分の進む道を決めるにあたって、職業という枠ではなくて、この世に生まれて何を目指したいかを考えました。
あれこれと心に湧いてくる関心事の中で、消えずに残った思いは、
「平和に暮らしたい」という事でした。
みんなが平和に暮らせる世界を目指そう!と、それだけ決めて大学を卒業しました。
そして、旅に出ました。
自分の暮らしを模索する中で、大地に根を張り、海と共に生きる人たちに出会いました。
自分の心が喜ぶ暮らしは、自然と共にある、いのちを生かし合う暮らしでした。
平和を求めて旅を続けてきましたが、僕の目指したい平和とは、地球家族(地球上に存在する生きとし生けるもの)と共に調和のうちに暮らすということでした。
この映画の中に、上関原発の事が出てきます。
山口県人としては、本当に身近な上関原発のこと。
この映画は、原発に反対とか賛成とか、いいとか悪いとか、そういう目線ではなく、日常生活の記録として捉えているところが素晴らしいんです。
一昨年、バリ島に旅行に行った時のこと。
夕日が美しいタナロット寺院の近くに来た時、疑問に思う事がありました。
それは、タナロット寺院は観光地なので、道は綺麗に舗装してあるはずが、ところどころまだ整備されていない、昔のままの細い道が残っているのです。
アテンドしてくださる方に、この理由を聞いてみました。
「バリ島では、村民全員がOKを出さないと何事も前に進まないんです。日本では考えられないでしょう。だって、この道を整備すれば、もっとたくさんの観光客が来るかもしれないし、商売もできるかもしれないのに。でも、この道を整備しないのは、きっと誰かが嫌だと言っているからだと思いますよ。」
バリ島では、誰か一人でもNO!と言えば、前に進むことは出来ないのです。
この事実を知り、日本もこうだったらなぁ・・・こうだったら原発は決して出来ないだろうなぁ・・・と思いました。
確かに日本がバリ島のようなシステムだったら、人口も多いので決まらない事だらけかもしれません。
でも、そうなったらそうなったで、話しあいが蜜に起こって、希薄だった地域の人達の絆が濃くなってくるのかな・・・
民主主義って何なのかな・・・と
こんな事を考えながら、帰路につきました。
お近くで上映会がありましたら、是非ご覧になってみてください。
祝福の海 ホームページは こちら
追記
この映画を見ていると、幼かった頃の昭和の世界にタイムスリップしたかのような懐かしさが込み上げてくるのです。
あの頃には、まだ身近にあった自然。
田んぼの側を流れていた小川に、下校途中足をつけてよく遊んでいました。
ひんやりとした水の感覚が、まさに蘇ってくるかのようでした。
幸せの記憶は、いくつになっても鮮明に記憶しています 。