朝起きて、「よし、今日は図書館に行こう!」 って思って出かけると、必ずといっていいほど、素敵な本に出会います。
この本を見つけた時も、こんな感じで図書館に向かったの。
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この本の著者は、イギリス人のポール・スミザーさん。
ポール・スミザーさんは、以前BSテレビで拝見していました。
彼が初めて来日された折 「イギリスで人気の植物がこんなに身近に自生しているなんてすごい!」 と感動されたそうです。
彼は言います 「外から来た人には驚くほどの宝が、日本にはたくさんあります。」 と。
今回、図書館で見つけたポールさんの著書 「気持ちがスーッとラクになる 生きるヒント」は、植物に自分の人生を重ねて、そこから学んだポールさん流の人生の応援歌のような本です。
去年図書館で巡りあった本の中で、一番心に残る本になりました。
この本の中で一番心惹かれた文章を、かいつまんでご紹介しますね。
「香りの記憶は、人を支えるお守りになる」 ~ブルーベル~
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季節に香りがあることを知っていますか?
たとえば、私にとって春の匂いとは、ブルーベルが群生する故郷・イギリスの森の香り。
ブルーベルは一輪ずつだと、かすかにしか香らないのですが、森全体に何万株も咲き誇っていたので、その甘さは格別でした。
(中略)
嗅覚の刺激は、脳の記憶をつかさどる部分を強く揺さぶると聞いたことがありますが、それを裏付けるように、その香りを思い出すと、ふるさとですごした当時の映像が蘇ってきます。
(中略)
今の私を支えてくれているものの一つは、あの風景のなかに身を置いたときの感覚や思い出、ブルーベルの香りのような気がしてなりません。
それを心の引出しから取り出すと、自分が大きなものにすっぽりと包まれているような安心感を取り戻せるからです。
そして、気持ちも強くなれます。
もし、あなたが子育て中のお母さんなら、子どもにそんな香りの記憶を持たせてあげてほしい。
きっと将来、その子が苦しい時のお守りになりますから。
植物の香りじゃなくてもいいんです。
大好きなカレーの匂い、お風呂上りの清潔なタオルの匂い
暮らしのなかには、たくさんいい香りがあるでしょう?
私はおばあちゃんが焼いてくれたケーキの香りを今でも憶えています。
誰かが自分を愛し、素敵な香りで生活を満たしてくれた・・・。
その記憶は、自分が愛されるべき存在であることを思い出させてくれて、心が折れそうなときに自信の源となるはずです。
こんな優しい彼のメッセージが、いっぱい詰まっています。
そして、本の最後にはこんな素敵な言葉が書いてありました。
大切なものは、遠くではなく足元にある。
今、ここにあるもので世界は満ち足りる。
私はそう信じています。
追記
私の大切な香りの記憶といえば・・・
寒い朝、ストーブの上でコトコト煮ていた咳止めの煎じ薬の匂い。
小さい頃、よく風邪をひいていた私に、祖母がこの煎じ薬を作ってくれました。
麦の一番穂と金柑、黒豆に氷砂糖を入れて…
何時間も煮詰めますから、やかんも真っ黒になっていました。
ちょっと苦味があったので幼い私は苦手でしたが. . .
大切に育ててもらった、遠い日の記憶が蘇ってきます。
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