「Can’t Take My Eyes Off You」 日本語名で 「君の瞳に恋してる」
誰もが一度は聞いたことがあるという名曲です。
明るくて、軽快なテンポの曲にこんな悲しい出来事が隠されていたとは・・・映画 「ジャージー・ボーイズ」を見るまでは知る由もありませんでした。
アメリカでイタリア系移民が多く集まる街、ニュージャージー。
そこに、自分達の夢を叶えようともがき苦しんでいる4人の若者がいました。
そのグループの名は、ザ・フォー・シーズンズ。
このグループの名前を知らなくても、「シェリー」という歌はご存じなのでは?
彼らが頑張ったかいがあり「シェリー」が大ヒット。
そして、その曲を皮切りになんと3曲連続でビルボード1位を独占。
押しも押されぬスターへと昇っていくのです。
ところが・・・
“家族を守る為には、この貧困から脱出しなければ” そう思って一所懸命歌っていたのにもかかわらず、歌えば歌うほどに売れ、ますます忙しくなって家族の元には帰れないという矛盾が起きてきます。
リード・シンガーのフランキー・ヴァリの家庭はもう崩壊寸前でした。
それでも何とか妻との関係を修復しようと家族の元に帰りますが、妻は寂しさを紛らわす為に酒に溺れて、自分の事で精一杯。
そんなある日、娘が家出をしてします。
ヴァリは必死に探し、やっと見つけだすのです。
「君の夢は歌手になる事だろう? パパが君の夢の後押しをするから、高校をちゃんと卒業したらその夢を叶えよう。」 と約束し、どうにか自宅に戻らせます。
ほっとしたのも束の間・・・
彼女は薬物中毒で亡くなってしまったのです。
ヴァリは深い悲しみの淵にたたされます。
後悔しても、後悔してもどうすることも出来ない苦しみ・・・あまりにも大きな喪失感・・・
とうとう歌う気力さえ無くなってしまったのです。
そんな彼を見かねたグループの一人ボブが、彼に何とか立ち直って欲しい一心でヴァリの為に曲を書きます。
でも、ヴァリはどうしても歌えないと断るのです。
ボブは諦めません。
この曲をどうしても見て欲しいといって封筒を渡して帰ったのです。
ある日、ヴァリはとうとう封筒を開けるのです。
楽譜を見て、ヴァリはこの曲を口ずさんでいました。
ボブの気持ちが通じて、ヴァリの心に再び火が灯ったのです。
それが 「君の瞳に恋してる」 が誕生した物語なのです。
この曲のタイトルからして、愛しい恋人に捧げる歌かなと思っていたのですが、この事実を知ってもう一度聞いてみると・・・
You’re just too good to be true
君があまりに愛おしすぎて
Can’t take my eyes off you
目が離せないよ
そう、これは娘を思う気持ちに溢れた曲だったのです。
フランキー・ヴァリの独特なファルセットの歌声がこの曲を一段と素敵にしています。
この曲は、今でも世界中のシンガーがカバーする名曲です。
人々の心を明るくする素敵な曲・・・だけど、そこには悲しい出来事がありました。
悲しみの果てに辿り着いたのは、世界中の人々の心に語りかける優しい愛の歌でした。
フランキー・ヴァリ氏が歌う 「君の瞳に恋してる」は こちら
映画 「ジャージー・ボーイズ」オフィシャルサイトは こちら