イーディス・ヘッドと時を同じくして、ハリウッド映画で活躍するもう一人の素晴らしい衣装デザイナーがいました。
その名は、ヘレン・ローズ。
彼女の作品を代表するものといえば余りにも有名なこちらのドレス・・・
きっと貴方もご存じのはず。
そう・・・世の女性の憧れの的
グレース・ケリーのウェディングドレスは、ヘレン・ローズの作品なのです。
贅を尽くしたウェディングドレスは、MGM社(アメリカの映画制作・配給会社)からのプレゼントだったそうです。
それにしても、なんと美しい!
花嫁の後ろ姿に、凛とした決意のようなものを感じます。
グレース・ケリーの気高い美しさを、一際引き立たせたこちのドレス。
世界中のため息をさらったこの世紀のウェディングは、世の女性の憧れの的でした。
それは、今でも語り継がれているほど・・・
1956年4月18日 世紀のウェディングの一日目
宮殿の戴冠の間にて、The Civil Wedding(市庁舎での挙式) と言われる法的な結婚の儀式が行われました。
その時、こちらの総レースのドレスをお召しになられていましたが、もちろん、こちらもヘレン・ローズのデザインです。
豪華なレースをふんだんに使った上品なドレスが本当にお似合いです。
そして、翌日の4月19日、世紀のウエディング モナコ大聖堂の The Chatedral Wedding が執り行われました。
このウェディングドレスにはこんなドラマがありました。
かのイーディス・ヘッドもグレース・ケリーのウェディングドレスのデザインを切望したそうです。
しかし、その夢が叶う事はありませんでした。
選ばれたのは、当時MGMのデザイナー ヘレン・ローズだったのです。
ヘレン・ローズは、1960年代後半までMGMの衣装デザイナーとして働き、その後デザイン事務所を開きました。
彼女の才能は洋服のデザインにとどまらず、著書やコラムの執筆も手掛けられたそうです。
時を同じくして、ハリウッド映画を衣装で盛り上げた二人の女性。
イーディス・ヘッドとヘレン・ローズ。
いつの時代もお互いに切磋琢磨しあう相手がいてこそ、ますます素晴らしい作品が出来上がっていったのですね。
追記
ヘレン・ローズは15歳からステージやナイトクラブの衣装デザインを始めていたそうです。
若い時からご自分の行く道をしっかり見定めていらっしゃったのですね。
かたや、イーディス・ヘッドは語学教師をしていましたが、パラマウント映画の衣装デザイナーの募集を知り退職、ファッションデザインの経験など何もないのに、友人が描いてくれたデザイン画を持って面接に行かれたのだとか。
そして、アシスタントになってからアートスクールに通い猛勉強されたようです。
型にはまらない異色のデザイナーだからこそ、あんなに素敵な衣装を作られたのですね。
当時、映画の字幕に衣装デザイナーの名前が載るのは、このお二人だけだったとか。
好きな事を仕事にするって、今の時代でもなかなか出来ることではないと思うのです。
それを何十年も前に実現されていて、しかも後世に名を残すお仕事をされていたなんて・・・
本当に素晴らしいお二人です。